技術ノート
第4回 正体不明の火災情報

■とっても恐い"蓄熱と火災"

特に冬場に多いのですが、乾燥機にまつわる火災の話を例年よく耳にします。
一般家庭の場合では、ストーブを使用するなど火を扱うケースが多くなりこれに起因するのですが、洗濯工場の場合は何故でしょう。ちょっと違う気がします。

正体不明の火災事故を考えてみましょう!

■正体不明の火災の多くは蓄熱

乾燥後のリネンをワゴンの中や乾燥機の中の放置して置いたら、焦げ臭い!!3時間も経つのに...このような場面の経験はありませんか。このような話をすると、皆さんは蓄熱によるいたずらだ、と言われます。
洗濯工場の場合"火災事故は季節に関係があまりない"と報告があります。しかし洗濯工場の多い関東方面を主体に、冬場空気が極度に乾燥し、静電気による事故例もあります。

しかし、なんといっても多いのは、正体不明の火災事故?それは蓄熱による事故ではないでしょうか。

蓄熱の起こる理由

乾燥機で乾燥する時、当然熱を被乾燥物に与えます。熱を与えると"分子運動が活発"になります。
乾燥が終了し、熱を与える事を終了しても、乾燥物の温度は上昇しており、分子運動は依然として活発です。この時速やかに放熱出来れば良いのですが、放熱出来ない時はジリジリと温度が上昇します。
この様な現象を蓄熱と呼びます。

蓄熱の促進剤

リネンに残存している"石鹸、パラフィン類、油脂類"は蓄熱を促進させます。
また素材では綿より"ポリプロピレンやポリエチレン繊維"は蓄熱し易い素材です。

防止方法

"乾燥後の冷却"が何といっても重要です。
蓄熱は"3時間以上"に渡り起こる事が報告されています。
過乾燥したものは特に注意が必要です。乾燥後すぐに処理出来ないものは、床に広げて冷却する事も必要です。

■家庭用乾燥機の以外な落とし穴!

工場からちょっと離れて、家庭用の乾燥機についても触れておきます。

家庭用の乾燥機でも乾燥衣料がギョギョ!焦げている場合があります。しかしこの場合、蓄熱の原因は少ないです。
この場合は殆どが"リント(糸屑、ケバ)"が悪さをしています。

家庭用乾燥機の場合、外気を40℃~60℃の熱風に変えて乾燥に用います。空気取り入れ口や、ドラム中央のフィルターが詰まると、風の通りが悪くなりヒータが加熱し易くなります。 もちろん安全のためサーモスタットが付いています。

ここに以外な落とし穴、サーモスタットの"感温部にもリントが段々積り" 感度が鈍り、意外と高温になります。リントが焦げる場合もありますので注意しましょう。
空気取り入れ口やフィルターを掃除しても乾燥衣料が熱くなる場合は、電気屋さんに相談を!

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