年頭所感

全国クリーニング協議会

会長 髙木 健志

髙木会長

 皆さまとともに新しい年を迎えられた喜びをかみしめて。

 明けましておめでとうございます。

 昨年を振り返りますと、特に下半期以降においてインバウンドの復活を含め人々の流動が活発化してきたことを受け、エリアや業種・業態(産業)の違いによって差はありますが、消費動向・経済活動に上昇傾向という光が少し見え始めてきたと言えます。

 一方、新型コロナウイルスの感染状況に目を向けますと、秋~冬にかけて第8波に入ったと言われていて、今年も“いつ・だれが・どこで“感染しても(または濃厚接触者になっても)全く不思議ではない環境が続くことを認めざるを得ません。政府、各自治体も色々な施策を講じながら、積極的に経済をまわしていくという方向性のもと、ウィズコロナの時代を一人ひとりが強く生き抜いていくことが求められています。そこには、ワクチン接種率の向上とともに一般治療薬の認可にともない初期の対処ができるようになることから、今までの対応から大きく前進することが期待されているところです。

 とは言え、少子高齢化の本質の部分は変わらず、少子化の波は更に拍車がかかっていくことを考えると、10年後・20年後に我が国の発展・成長に必要な若い力が不足することを、危惧せずにはいられません。

 クリーニング業界では、今年も真っ先に企業経営に直結する大きな課題として、諸資材費(包装カバー・ハンガー・紙製品、他)、動力費(電気・水道・ガス・油・溶剤、他)、人件費(最低賃金・人員募集・教育・保険加入、他)、店舗運営費などにいたるまで、あらゆる経費が高騰し続け、更に今年1年どこまで上昇するのか、全く予測がつかない現状の中で健全な経営を図るかが問われています。

 重ねて、人材確保が本当に難しくなってきている状況下にあって、我々の仕事は海外に拠点を求めることができない完全なる内需型産業であることから、その生産体制の充実や人材の育成・強化という面を考えると、特にパート従業員への労働環境(社会保険への加入条件など)の変更にともない、今まで以上に人数が必要になることは明らかで、その意味からも今年は「働き手」の確保が例年以上に厳しいと言わざるを得ません。

 このような環境下において、各社が健全経営(工場運営・店舗営業)を継続していくためには、業界全体で従来の当たり前体質、特に春のシーズン期(繁忙期)における価格設定のあり方(大幅な値引きを中心とした販促手法・セールスなど)を改めて見直すという考えに立ち、真剣に行動に変えていかなければならない時代であると強く認識しています。

 加えて、各社がクリーニング料金・安さだけではなく、各々のストロングポイントやオリジナリティを研鑽し、それぞれを価値観としてお客さまに訴求していくことにより、日常生活においてクリーニングが“なくてはならない業種”であることを認知していただくとともに、需要の回復に繋げていくためのアイデアの創出やアクション展開を、一体となって取り組むことも必要不可欠です。

 このように、クリーニング業界全体あるいは各社が乗り越えなければならない課題は山積みであることは紛れもない事実ですが、私達は常にクリーニングの本質(きれいな状態でお返しすること)を原理原則とし、その取り組みやサービスは“お客さまが望んでおられることなのか“お客さまは喜んでくださっているのか”を日々、自問自答しながら足りない部分を見直し、改良し続けることから、お客さまの思いにサービスとして受け止めていただけるよう体質改善していかなければならないと一年と確信しております。

 本年が、会員の皆さまにとって成果が得られる1年になりますようお祈り申し上げるとともに、今後とも全協の活動に対しご理解・ご協力をたまわりたく、何とぞよろしくお願いいたします。

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