年頭所感

一般社団法人 日本テキスタイルケア協会

代表理事 住連木 政司

住連木代表理事

 昨年2022年には、環境省、消費者庁において「サステナブルファッションサイト」が開設され、アパレルファッション製品の廃棄量の縮小を産業界のみならず国民全体に呼びかけることとなりました。

 サステナブルファッションのための必須事業は、繊維製品のメンテナンス事業です。繊維製品のメンテナンスに関する事業は、リペア(修繕)、リフォーム、クリーニングなどがあげられます。しかしながら、これらが総合的に連携した事業でなければ、消費者にとって利便性の高い事業とは言えません。欧米においては、クリーニング事業者が、テキスタイルケアという新しいビジネスモデルの創造に向かい、リストレーション(復元)という新しい技術サービスの提供に動き始めています。

 しかし日本においては、クリーニング事業は単なる汚れ落としという「洗濯家事の代行事業」の概念として定着しています。このことは、「厚生労働省告示第59号」にも明確に「クリーニング業は、国民の衛生的で快適な衣料及び住環境を確保するとともに、家事労働の代替サービスを提供することにより、国民生活の向上に大いに寄与してきたところである。」とされています。これが社会的認知となっており、一部のクリーニング事業者が、リペアや色掛け、整形仕上げなどを学習しサービスとして提供しようとしてもその商品価値を正当に理解し評価してもらうことを困難なものとしています。ここに、汚れ落としとしての家事代行とは区別されるべきリペアなどの復元技術サービスとクリーニングを複合した新しいサステナブルファッション産業として成立させる必要があります。

 「工業化できない作業は産業として成立しない」という言葉があります。クリーニング産業を復興に導くものは特殊な専門技術を工業化することによって、適正対価で社会全体に消費者利益を提供する新たなビジネスモデルの創出にあります。このための新たな産業イメージを提案し、本協会の思想の具現化に努めてまいります。

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