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1997年のクリーニング・パワーセミナーからの要約をお届けします。テーマは「経営分析」と「顧客管理」でした。なお、本稿は『Cleaning Online for Members』に掲載されていたものです。

update 15 Oct.1997



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はじめに


 クリーニング業界は今まさに試練の時と言えるでしょう。昨年度の年間総需要は5,800億円とも言われていますが、この数字の意味するものは非常に大きいといえます。といいますのも、今後この数字が上昇するとは考えにくいからです。クリーニング業を取り巻く状況も、大きく変化してきました。これまでは業者間による競争であったものが、一般家庭との競争に変化してきたという事実です。

 例えば具体例を挙げますと、大手家電メーカーの家庭用洗濯機の需要が前年対比で約20%も増加しているということがあります。従来のような4Kg洗いの洗濯機ではなく、7kg以上の大型の洗濯機の買い換え需要が非常に多いということです。今後このような傾向は、ますます増加することが予測できます。
 また、花王が発表したところによると、家庭用洗剤の売上が前年対比約30%も伸びています。この傾向もまた、前年対比は別としても、売上そのものが減少するとは考えにくい状況にあります。
 さらに追い打ちをかけるかのように、アパレルメーカーの新製品の約4割に当たる製品が、家庭洗濯ができることを前提に開発、販売しているという事実です。百貨店での店頭においても、販売員はことさらにこのことを強調して販売を展開しています。

 これらの事実からもご推察いただけると思いますが、今後、クリーニング業者が生き残るためには、従来からある固定概念を払拭し、新しい考え方、新しい生産性といったものを考え出していかなければなりません。これらは非常に勇気がいることであり、決断に大いに戸惑うことでもあります。
 しかしながら、これまで大手業者はその規模の大きさから、小回りの利かない経営体質でしたが、それを改め、新たな経営指針を打ち出してきています。当然この波はすぐにやってきます。世の中の動きにどう対処していくか決断しなければなりません。



経営分析はなぜ必要なのか?


 クリーニング業を取り巻く環境については、すでに申し上げたとおりですが、では、それをふまえた上で、経営分析がなぜ必要なのかについて言及してみたいと思います。
 まず私たちが何気なく使っている機材や資材といったものを考えてみて下さい。

 従来、設定している価格についてですが、これは皆さん一体何を基準に設定しておられるのでしょうか。様々な案があることでしょうが、下記に記してみましたので、いま一度考えてみて下さい。

  • 周りの店が概ね価格的に均一されているから。
  • 値頃感を演出した価格だから。
  • 特に根拠はないが妥当な価格だと思うから。
  • 原価を把握した上で採算ベースに合う価格を設定しているから。
 このような感じでしょうか? 他にも当然あるでしょうが、ここではそれを明らかにすることが目的ではありませんので概ね以上の4つの決定事項に絞ってみました。ここで本題の経営分析に対する回答を記すというのであれば、これは当然最後の項目でしょう。しかしそれだけでは答えにはなっていません。
 そこでまず、逆のことから考えてみましょう。ここでいうところの逆とは、すなわち分析結果を重視せずに価格を決定した場合の不具合についてという意味です。

 そもそも価格とはいかなるものでしょうか。本来価格とは自社が抱える最大の関心事であり、最大の経営指数であるといえます。世間相場を加味しつつ、それに対抗できうるだけの体力と、生産性をあわせ持ち、かつ自社の存亡までもをも左右するものであるといえるでしょう。
 いくら市場価格が判っていても、それに対応できるパワーがなければ、それは別の路線で生きるべきであり、さもなくば敗北を意味します。



価格を決定する要因は


 具体的な例を挙げてみましょう。

 いま自社が調査できうる、あらゆるデータを検証した結果、自社を取り巻く市場価格の平均相場が1点あたり平均で340円だと仮定します。それにあわせて、自店の平均単価も同様の価格設定を行って、これに対抗したとしますと、クリーニング業者の最も頭を悩ませる点は、その固定比率の割合の高さにあるわけです。
 つまり、必要人材に対する固定経費と変動費を差し引いた売上総利益が等しくなるような価格設定を行っていると、市場経済の現象の波にさらわれたときに復活する手段がないということです。

 常に上昇する人件費と、減少の一途をたどる市場経済シェアを照らし合わせた場合、そこには常に売上の前年増加しか考えられないという結果をもたらすのです。これは気持ちの上ではそうであってしかるべきではありますが、簡単なことではありません。それに追い打ちをかけるかのようなユーザーの高品位ニーズに応えていこうとした場合、価格設定を行った段階での生産性や品質といったものよりも、遥かに高い次元のランニングコストが発生するのです。
 つまり変動経費が当然高くなるわけですから、自ずと固定費は圧縮されるべきはずでありますが、固定費とは削ることができない経費であるわけですから、答えは自ずと判るということです。

 以上、逆の見地から考えてみましたが、価格を自店の分析結果から算出していれば、当然その時点では利益をもたらす結果になっているわけでして、根拠になる指数があれば、現状の対策も立てやすいというわけです。
 もちろん市場価格も当然必要で、それに対抗できうる生産性と顧客が望む品質の維持という二つの局面を照らし合わさなければなりません。そこで次の顧客管理が問題になってくるわけです。



損益分岐点でみる価格設定比較


 ここで紹介する統計値は、あくまでも参考ではありますが、利益を考慮したうえで価格設定を行った場合と、市場経済に的を絞ったうえで価格設定を行った場合との比較です。
 そして、この2つには大きな開きがあります。

 例えばセールを行った時に、その違いははっきりと現れます。限界単価は同じですが、そこに含まれる利益率に大きく差が現れるのです。
 このことは非常に重要です。つまりセール目的が、時には市場に対する優位性を誇示するためである場合も、当然起こりうることです。その場合でも、確実に利益を確保することができるのです。もちろんセール目的が、単に市場価格よりも安いということだけをアピールするようなものであるならば、これには当てはまりませんが。

■現状

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■変更後

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顧客管理とは何をするべきなのか


 一口に顧客管理といっても、顧客の何を管理するのでしょうか。こういった疑問が出るのではないでしょうか。
 まさにその通りでして、地域密着型の経営を取っていると、必要以上の顧客管理は必要ないのではないかという疑問があります。ところが、これが大きな落とし穴となっているのです。

  • 来客してくださるお客様をどれだけ把握しているでしょうか。
  • カードを配ったお客様の数は把握していても、そのうち1年間にいったい何人のお客様が、再度来店していただいているか正確にご存じでしょうか。
  • セール期間中にだけ来店されるお客様が、いったい何人いるかご存じでしょうか。
  • DMを持って来店されたお客様の行動パターンをご存じでしょうか。
 これらはほんの一例ではありますが、これらのことを掴んでおかなければ、今後の発展には結びつくことが難しいといえるでしょう。

 では何が問題なのかを明らかにしていきましょう。

 常連客といわれるお客様の平均単価と、スポットのお客様の平均単価を知ることによって、自店の支持率がわかります。つまり、どの市場規模に受け入れられているかが判断できるのです。当然スポットのお客様の来店日や平均単価を把握することで、市場がみる自店の立場を把握することもできるのです。これは遠方から来るお客様を追跡すれば一目瞭然です。
 これらのデータを照らし合わせて、どこに矛盾があり、どこに正当性があるのかのを参照することで、時には大きな変革を促すことも可能になり、軌道修正することも可能になるわけです。

 ここにあげたような顧客管理や分析は、残念ながら人間の頭の中で把握することは不可能です。しかし、今やコンピュータといった武器がそれを可能にしてくれるのです。
 コンピュータに投資することは遊びでない限り、必ず投資に見合う見返りがあります。それはダウンサイジングという言葉が示すとおりです。世の中の動きを見据えていただくことを切に希望いたします。



顧客行動パターンの分析


 この表が示すものは、顧客管理の簡単な考え方ですが、そこには大きな問題が記されています。ここで紹介するサンプルのお店は、カード会員の登録者数が6,500件に上るのですが、1年間の利用客数は2,129人となっています。
 残りの4,000件ものカード会員様は、全て引っ越しされてしまったのでしょうか。答えは"NO"です。つまり何らかの原因で他のお店に移られてしまったのです。

 しかしこのようなデータがあれば、今リピートしていただいてるお客様の行動パターンを分析することで、自店の位置づけは、はっきりとしてきます。そのままが正しいのか、経営体質を見直すのかは経営者の判断に委ねられるわけでありますが、地図の上でいくらシェアを確保していても、流出した顧客数を削除していかなければ、本当の意味でのシェアは見いだせません。地図を使った戦略は、このようなデータがあって、はじめて有効に作用することをご理解ください。

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 貴方の重点エリアにライバルが出現したとき、どうしますか?




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